野外漆-組(やがいうるし-くみ)

¥40,000(税込)

野外漆-匙
長さ:約19.5cm、幅:約3.5cm、6g
野外漆-小杯
径:約8.7cm、高さ:約9.0cm、97g
野外漆-椀
径:11.5cm、高さ:約6.5cm、114g
  • ●素材
    ・『匙』:朴(ほお)の木
    ・『小杯』:ケヤキ
    ・『椀』:ケヤキ
  • ●産地:輪島塗(石川県)
  • ●加飾:漆絵(ロゴ)

【伝統的な輪島塗を応用した漆塗り技法。長い期間と工程をかけて製作された漆器『野外漆』】

今回、tent-Mark DESIGNSと石川県にある輪島漆器製造元の輪島キリモトとのコラボレーションによって実現したアウトドア食器としては初の輪島の漆塗り技法で生み出されたアウトドア漆器『野外漆』。

何層にも重ねられた漆は深い黒色で、見た目は金属のような質感ですが、手に取るととても軽く、肌触りも良く手に馴染みます。

[tent-Mark DESIGNS]のロゴは職人による「漆絵」技法で手書きされ、素朴で品の良い仕上がりです。

また、金属食器と共に使用していると表面にキズが付きやすいイメージのある漆器ですが、今回制作した『野外漆』は、アウトドア用品で多い金属製のカトラリーの使用を考えて[輪島キリモト独自の漆塗り仕上げ]でキズが付きにくくなっています。

『野外漆』と銘打っていますが、漆器は乾燥に弱いので、しっかりと保管してキャンプの時だけに使用するよりも、日々の食卓でも使用して大事に使っていくことで漆器に適度な水分補給ができ、より長持ちします。

料理の彩を引き立て、肌触りを愉しみ、年を重ねるごとに枯れを増す『野外漆』。

アウトドアライフを、より豊かにする道具として貴方の愛用品に加えて下さい。

商品詳細

【6月】

●カップと器に関して

使用している木材は、「能登半島の欅(ケヤキ)材」となります。
欅は、普段街でも山でもよく見る木ですね。凛とした立ち姿が美しい落葉広葉樹です。
木材としては、木目が美しく、磨くと光沢を生じます。堅くて摩耗に強く、和家具や建築に使用されます。輪島では椀、鉢、皿などの挽物などに使われます。

※挽物=ロクロを使って挽いてつくるもの。形状は回転体となります。挽物の木地を作る職人を椀木地師と呼びます。
木の塊から、荒削りをした後に、一定期間置いて木を落ち着かせます。その後仕上がりの形状に削り出します。

●スプーンに関して

使用している木材は、「朴(ほお)の木」です。落葉広葉樹で、樹皮は灰白色、きめが細かく、裂け目を生じません。
葉は芳香があり、殺菌作用もあるため朴葉寿司、朴葉飯などに使われます。山を歩いていると見られる、大きな葉を持つ木です。
木材としては、適度に堅くて加工しやすく、以前は下駄の歯、日本刀の鞘などに使われていました。
輪島では膳、卓(じょく)の猫足、蝶足、匙や複雑な形の花形皿などの刳物(くりもの)、箱物に使われます。

●スプーンの木地工程の画像につきまして。

画像のように荒削り以外は全て手仕事にてスプーン木地は製作されます。

・木地曲面カンナがけ:
仕上がったときの側面のラインをカンナにて削り出します。
・南京カンナがけ:
特徴ある形状の「南京ガンナ」にて柄の部分の3次元形状を削り出します。
・ペーパー磨き加工:
カンナで成形した後に、木地加工の仕上げとしてサンドペーパーで磨きあげます。
・小カンナ各種:
木地加工には様々な種類、大きさのカンナを使用します。作るものと形状により合ったカンナを選び用います。

【7月】

●木地裏側

これはカップと器の木地の裏側です。塗り工程の直前となります。器の裏側は持ちやすいよう、凹みを作っています。
画像背景は、工房からの風景です。夏なのですくすくと稲が育ってますね。輪島という土地、産地から生まれた手作りの道具ということでイメージして下さればと思います。

●木地固め

さて、塗り工程に入りました。まずは「木地固め」です。木は、切られても尚生き続けます。つまり、空気中の水分を吸ったり吐いたりします。これにより木材は実際に大きさが変わったり歪みがでてきます。これを極力なくす為に、仕上がった木地に生漆を染み込ませ、膜を作ることで木の動きを固める工程となります。

●カップ布着せ半分/椀布着せ

木地固めを行った後の工程です。「布着せ」といい、木地を強化する為に行います。この作業、完成すると表面から見えなくなりますが、使い込み、落とした場合や殴打した場合、又10年使い込むと、この工程の良さが出てきます。万が一のとき、直せるようにしています。
具体的には、椀の縁や高台、内側の底面など使っている時に摩耗が激しくなる箇所にに、糊漆(生漆と米糊を混ぜたもの)で布を張り補強します。カップは外形が直線ですので、より強度を上げる為に外側全面に張っています。布は麻布や寒冷紗を用います。

●スプーン拭き漆養生

スプーンは、拭き漆仕上げです。拭き漆仕上げとは、漆塗りの最も基本的な技法で、仕上がった木地に直接漆を塗り込み、乾かないうちに布などを使って摺り込むように拭き取り乾かします。
今回は拭き漆・黒仕上げですので、黒漆を摺り込んでいます。この作業を3~5回繰り返して仕上げです。木目のきれいさ、優しさをより引き立てる仕上げと言えます。
現在養生中ですが、この画像に写っている空間を「湿め風呂」といいます。漆を乾かすための空間です。漆のこと、漆が乾くということにつきましては、下記となります。

●漆のこと、漆が「乾く」ということについて

漆は「漆の木」から採取される樹液で、ウルシオールという化学物質を主成分とする天然の樹脂です(漆の分子は、ウルシオール、水分とゴム質からなります)。
うるし科の植物は世界に600種以上ありますが、このような樹液が採れるのは東アジアを中心に生息する8種類だけです。東アジア特有の塗料と言えます。欧州などには漆の文化がありません。一本の漆の木から採れる量も少なく、10~15年間育てた木から、わずか200ccほどの漆しか採取することができません。
漆が硬く乾くためには、25度の「温度」、65~80%の「湿気」が必要不可欠です。これは、漆が“乾燥”ではなく“化学反応”によって固まるからです。漆の分子が適切な温度、湿度によって結合して、高分子結合体を作って固まるのです(このために湿め風呂に入れます)。
このように固化した漆の塗膜は、酸やアルカリに強いだけでなく、金を溶かす「王水」という酸にもにも侵されず、耐熱、耐湿、抗菌滅菌性に優れたとても強い保護膜となります。

【8月】

●塗り:惣身研ぎ

前の工程「布着せ」を行うと、布着せと木地の境に布分の厚みの差が出ます。これを平滑にするために「惣身付け」を行います。惣身漆と呼ばれる、生漆と煎った木粉を混ぜたものを塗ります。これが乾いたら、サンドペーパーで磨きます。これが「惣身研ぎ」となります。画像では、椀の上縁から少し下にラインがうっすら見えていますが、これが境の部分です。

●カップ下地

一辺地漆を作っています。一辺地漆とは、輪島にある小峰山から産出される珪藻土を蒸し焼きにして砕いてふるい分けた「輪島地の粉(じのこ)」に生漆と米糊をまぜた物です。次の工程以降で塗ります。「輪島地の粉」は粒子の細かさが3種類あり、荒いものから、一辺地粉(一辺地漆に)、二辺地粉(二辺地漆に)、三辺地粉(三辺地漆に)と呼びます。

●カップ下地

惣身研ぎの後に、「一辺地付け(いっぺんじつけ)」を行います。一辺地漆を面ごとにヘラを使って塗ります。画像のように、椀やカップ等回転体の場合は片手で回しながら塗っていきます。特に縁部分などの丈夫にしたい箇所は、桧皮篦(ひがわへら)を使って漆を塗り込む地縁引きを行います。
やはりこれも前述の湿め風呂でしっかり乾かします。乾いた後には「地研ぎ」。砥石を使い空研ぎを行います。この後は、二辺地漆を同じように塗り→乾かし→研ぎ、三辺地漆を塗り→乾かし→研ぎと工程は進みます。粒子の隙間により細かい粒子を塗り込むということになります。

※塗り工程を人間の構造で例えるならば、木地=骨、下地=筋肉、上塗り=肌、化粧となります。下地を丁寧に施すことで、長く使える堅牢な漆器となります。また、割れや欠け等の破損が生じた場合も、下地がクッションとなり、木地本体への影響を和らげる為に「塗り直し」が可能となります。まさに縁の下の力持ち。完成すると全く見えてこないのが渋すぎます。

【8月下旬】いよいよ完成

●カップ/~椀千すじ付け完成、千すじ付け研ぎ布着せ~

下地工程の後、ここからが「傷つきにくい表面硬度を持つ漆塗り仕上げ」の工程です。
「綺麗だけども、すぐ傷が付く、扱いづらい」といった漆塗りのイメージを払拭する、輪島キリモトオリジナルの漆塗り仕上げです。金属のカトラリーを使ったり、擦れたりしても傷が付きにくいのです。仮に激しい衝撃で欠けたとしても、塗り直しが出来ます。輪島地の粉と漆のみを特殊な技法で塗り込み、繊細で抑揚のある千すじ模様をつけます。この後に再度漆を塗り込むために、研ぎ出します。

●養生中

研ぎの後には、再度漆塗り込みを何度も施し、「エイジング(時を経た表現)」をかけて塗り工程は終了です。一見すると金属調にも見えますが、持ってみると驚く程軽く、また漆独特の吸い付くような質感を持っています。食べ物や飲み物を入れると、その色を引き立ててくれます。
じっくり養生したうえで、ロゴを漆絵技法にて描いて完成となります。